2型糖尿病の方が健康で長生きするには何に注意するとよいでしょうか?
この点に関しては1980年代ごろから研究結果が発表されていて、その都度、治療方針が変更されてきています。
以下のことがうまくいっているかチェックしていただくとよいでしょう。
1.HbA1c (ヘモグロビン エーワンシ―)が7%未満(ご本人の年齢や健康状態により異なります)
2. 血圧 130/80mmHg未満
糖尿病の方は血糖値だけではなく、血圧、脂質をきちんとコントロールしないと心筋梗塞や脳卒中が起こりやすくなります。むしろ、血圧、脂質の方が血糖値よりも動脈硬化には大きな影響があると考えられています。
3. 脂質
LDLコレステロール 120mg/dL未満 (糖尿病の方は糖尿病でない人に比べると低い方がよいと考えられています。ただし、国際的には100mg/dL未満となっています)
中性脂肪 朝食前で150mg/dL未満
4. 禁煙 タバコは動脈硬化を進めますし、何といってもがんの発症リスクを高めます。ほかにも肺機能が悪くなり、慢性閉塞性肺疾患はタバコ病と言われています。
5. 飲酒を控える アルコールは昔は百薬の長と言われていましたが、多く飲むと身体に悪いことが知られていました。最近は多量でなくともアルコールも長期間飲み続けると健康にはよくないことが示されています。
そして、飲むとしてもなるべく頻度を減らし、週に1,2回飲む程度がよいでしょう。
6. 体重 BMI 22程度に
内臓脂肪が多くなると悪いサイトカインを多く出し、インスリンの効きを悪くなり(インスリン抵抗性が高くなる)、血糖値が上がりやすくなります。また、悪いサイトカインの中には血圧をあげるものや動脈硬化を進行させるものもあります。
7. 腎機能 eGFR 60mL/m2/分、尿アルブミン 30mg/g尿Cr未満
腎機能が悪化すると死亡率や心筋梗塞や脳卒中の発生率が高くなることが分かっています。
8. 食後血糖値 180mg/dL未満
食後に血糖値が高くなることが糖尿病の特徴なのですが、食事・運動療法と薬物療法で食前血糖値のみではなく食後血糖値も正常に近づけることが血糖コントロールの最終目標となります。
HbA1cは血糖値の平均値の反映なので、食後血糖値を推測することはできません。持続グルコース測定器(CGM)は食後血糖値をにて体液中のグルコース値を調べることが可能となっています。インスリン治療の方がCGMの保険適応です。
9. 睡眠の質(睡眠時間、睡眠時無呼吸の有無)
1日7時間は眠るのがよいと考えられています。男性、糖尿病、肥満、高血圧症で閉塞性無呼吸症候群が高い傾向にあります。閉塞性無呼吸症候群があると起床後にも身体がだるい、昼間に眠い、夜間に急に起きたり、睡眠時のみ頻尿になるという症状があれば、検査を受けられるとよいでしょう。