糖尿病では腎臓合併症が一つの重要な問題です。
尿たんぱくが陽性、尿アルブミン指標が30mg/gCr以上、eGFRが60ml/mi/1.73m2未満のいずれかに当てはまる方は腎臓の問題(慢性腎臓病)が発生している可能性があるので、主治医とよくご相談ください。
米国糖尿病協会のStandard Care 1)を概略すると以下のようです。
糖尿病と慢性腎臓病を有する方は、
- 健康的な食事
- 身体をよく動かす
- 禁煙
- 体重コントロール などを行ったうえで、
- 血糖値をもっともよい状態にすることが推奨される。
- 血圧を良好に保つ。血圧は130/80mmHg未満にすることが推奨される。
- 妊娠されている女性を除いて、高血圧の治療にはACE阻害薬 2)またはARB 3)の使用することが推奨される
- 2型糖尿病で慢性腎臓病の方でeGFR 20ml/min/1.73m2以上の方は、副反応で内服できない方を除いて一部のSGLT2阻害薬 4)を使用がすることが推奨される。
- 一部のGLP-1受容体作動薬 5)は心血管リスクや腎疾患進行抑制に推奨される。
- 非ステロイド性MRAを用いることが推奨される。カリウムの上昇に十分注意するべきである。
- 慢性腎臓病G3期(eGFR 60ml/min/1.73m2未満)以上では蛋白摂取量を0.8g/kg/日とする。
上記の「推奨」される薬剤や治療法は副反応や他の身体的特徴のために選択しない方がよい場合もあります。あくまで、主治医の先生とよくご相談ください。
また、上記の腎臓の項には挙げられてはいませんが、喫煙されている方の禁煙、動脈硬化症がある人あるいは強いリスクを有する人の脂質の管理は非常に重要です。
1) Volume 48 Issue Supplement_1 | Diabetes Care | American Diabetes Association
2) ACE阻害薬には以下のような薬剤があります。
エナラプリル (Enalapril) レニベース®、リシノプリル (Lisinopril) ロンゲス®
イミダプリル (Imidapril) タナトリル® 、テモカプリル (Temocapril) エースコール®
シラザプリル (Cilazapril) インヒベース®
3) ARBには以下のような薬剤があります。
ロサルタン (Losartan) ニューロタン®、ロサルタン® 、バルサルタン (Valsartan) ディオバン®、バルサルタン®
カンデサルタン (Candesartan) ブロプレス®、カンデサルタン® 、テルミサルタン (Telmisartan) ミカルディス®、テルミサルタン®、オルメサルタン (Olmesartan) オルメテック®、オルメサルタン® 、イルベサルタン (Irbesartan) アバプロ®、イルベタン® 、アジルサルタン (Azilsartan) アジルバ®
4) 腎保護作用のエビデンスがあるSGLT2阻害薬には以下のような薬剤があります。
ダパグリフロジン (Dapagliflozin) フォシーガ®、
エンパグリフロジン (Empagliflozin) ジャディアンス®
カナグリフロジン (Canagliflozin) カナグル®
5) 腎保護作用のエビデンスがあるGLP-1受容体作動薬には以下のような薬剤があります。
セマグルチド(Semaglutide)オゼンピック®・リベルサス®・ウゴービ®
デュラグルチド(Dulaglutide)トルリシティ®
リラグルチド(Liraglutide)ビクトーザ®
6) 非ステロイド性MRAの薬剤は、フィネレノン (Finerenone)ケレンディア®が発売されています。


